【サー・ヴィヴァル 1958(アメリカ)】
●エンジニアのウォルター・C・ジェローム氏は、疲れを知らない楽天家であったに違いない。
●彼は10年もの間、自分のコンセプトカーを作り続けたが、一台も買い手がつかずこの車は「サー・ヴィヴァル」として自動車史に残ることになった。
●マサチューセッツ州ウースター出身のこのアメリカ人は、自分の車を「革命的な車」と表現し、それは間違いなかった。
●しかし、彼の革命は期待したほどの魅力を生み出さなかった、その外観やコンセプトは、1960年代という時代の流れにまったくそぐわないものであったからだ。
●シートベルトの装着ということだけでも、この技術者がいかに時代を先取りしていたかがわかる。
●シートベルトが人々に受け入れられるのは、それから何十年も後のことである。

●この車の最も目を引く部分が、自動車の中央分割である。
●ウォルター・C・ジェロームは、この分割が衝突事故時の横力を理想的に吸収すると考えた。
●同時に、小さな衝撃に関しては、ボディの全周ゴム緩衝材によって穏やかに吸収されるようになっていた。
●そしてもう一つ、型破りな安全性への配慮として最大4人乗りの後部座席の前方にあるコックピット型の運転席が3フィート高く、全周回転式になっていることがわかった。
●座席が高いので、前方の視界がよく、まわりの車の動きもよく見える。
●3つのヘッドライトは、カーブでは2つのヘッドライトが道に沿って揺れ、中央のヘッドライトはドライバーの高さに置かれ、まっすぐ前方を照らす。
●前の部分には、ドライブアクスルとともに「サー・ヴィヴァル」のエンジンが設置された。